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冬鳥 [雑文]

 田んぼが広がる平らな土地の真ん中を、小さな川が流れている。田んぼは、この川から水を引き入れている。周りは低い山に囲まれた丘陵で、今はその山肌に葉を落とした木々がばかりが輪郭を濃くしている。川にはいつもカルガモがいる。留鳥というそうだ。カルガモは田んぼに水が張られる頃、田んぼへも出張ってくる。植えられた小さな苗の間を、エサを探しながら泳ぐ。

 冬になり山にエサが少なくなると、鳥が山から里へ下りて来る。一番よく見るのはメジロだ。庭木の枝にミカンを刺したり、庭に作ったエサ台にミカン置いたりする家があって、鳥寄せをしている。たくさんのメジロがエサ台に集まった、目白押しの様子を見たこともある。

 葉を落とした枝の間を素早く動き回る小さな鳥はエナガだ。ピンポン玉ほどの小さな鳥は、小さい上に高い枝で群れていることが多く、単眼鏡でのぞいてそれと分かるくらいだ。木の幹を突きながら跳ねるように移動するコゲラは見つけやすい。見られるのは背中ばかりだけれど。モズやジョウビタキは木のてっぺんや、畑にたてられた杭の先でじっとしていることが多い。

 冬鳥が渡りをしてきたことに、最初に気がつくのはマガモを見る時だ。カルガモの中にいつの間にか、違う種類の鳥が混じっている。それからしばらくするとコガモやオナガガモが増える。そして野原でじっと、あらぬ方向を見上げてたたずむツグミを見ると、冬が来たのだなと思う。
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