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怪火 [雑文]

 このところ立て続けに、夜に火事があった。火事があると、市内にいくつもあるスピーカーから火災発生の知らせが流される。聞いていると、みな枯草火災だった。この辺りには宅地造成前の空き地や、耕作放棄された畑が多い。今の時期はそこに枯草がはびこっている。冬の乾いた空気と強い北風。ちょっと火がついたら、瞬く間に燃え広がるだろう。

 ただ、そんなところには火の気がないはずなのだ。放火でなければ、火のついたタバコのぽい捨てくらいしか原因に思い至らない。しかも夜なのだ。昼間に捨てたタバコの火が、ずっとくすぶっていて夜になって燃え上がったか。もっとも、そんなところへ火のついたタバコを捨てたら、未必の故意を疑われかねない。

 ふと狐火のことを思いついた。この辺りは狐火がよく見られる。狐火は燃えるのだろうか。キツネの他にもタヌキやイタチ、ハクビシンなどのケモノも棲む土地だ。火を使えるケモノを、キツネとヒトに限ることもないだろう。野山に棲むケモノたちが、あわてるヒトを尻目に、競うように火をおこしているのかもしれない。
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