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月夜 [雑文]

 十五夜の夜は、昼間のように明るくて、街灯のない田畑の中の農道もいつもと違って見える。実ったばかりの、少しだけ頭を垂れた稲穂が、月の光に照らされている。海を照らす月が、その光で海上に道を作るように、稲穂の上にも光の道ができていた。

 田畑の間には、ぽつぽつと耕作放棄された畑がある。
 そこは荒地のようになっていて、夏草が伸び放題に生い茂っていた。
 その中に、宵待草の花が咲いていた。
 明日の朝には、すっかりしおれてしまう、薄い黄色の花。
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