啓蟄 [雑文]
午後の半日を部屋で本を読んで過ごした。
部屋の中が薄暗いと感じて時計を見ると、午後五時になるところだった。
本を伏せて立ち上がって、部屋の障子を開けてみる。
南に向いた窓の外は、右手から低くオレンジ色の日が差していて、部屋の中よりずっと明るかった。結局今日は、朝に新聞を取りに外へ出ただけで、一日家の中にいた。朝は低く灰色の雲が垂れ込めていたけれど、今は晴れている様子だった。
体が思いっ切りなまっているような気がして、外の空気を吸いに玄関へ向かう。
外に出てみると、家の前のアスファルトの道路が濡れていた。
雨が降ったことに気がつかなかった。
雨上がりの空気を吸って、伸びをする。
肩と首を回して、少しは体を動かした気分になる。
急に空腹を感じて、酒とアテを買いに行こうと思う。
玄関に戻りかけたところで、甘い香りが鼻をついた。
覚えのある匂いに、裏庭へ回ってみると沈丁花が咲いていた。
立春を過ぎてから暖かい日が続くと思っていたけれど、早や啓蟄か。
春の宵に明るいうちから飲む酒はうまい。
飲む前に風呂に入ろうと思う。
部屋の中が薄暗いと感じて時計を見ると、午後五時になるところだった。
本を伏せて立ち上がって、部屋の障子を開けてみる。
南に向いた窓の外は、右手から低くオレンジ色の日が差していて、部屋の中よりずっと明るかった。結局今日は、朝に新聞を取りに外へ出ただけで、一日家の中にいた。朝は低く灰色の雲が垂れ込めていたけれど、今は晴れている様子だった。
体が思いっ切りなまっているような気がして、外の空気を吸いに玄関へ向かう。
外に出てみると、家の前のアスファルトの道路が濡れていた。
雨が降ったことに気がつかなかった。
雨上がりの空気を吸って、伸びをする。
肩と首を回して、少しは体を動かした気分になる。
急に空腹を感じて、酒とアテを買いに行こうと思う。
玄関に戻りかけたところで、甘い香りが鼻をついた。
覚えのある匂いに、裏庭へ回ってみると沈丁花が咲いていた。
立春を過ぎてから暖かい日が続くと思っていたけれど、早や啓蟄か。
春の宵に明るいうちから飲む酒はうまい。
飲む前に風呂に入ろうと思う。