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払暁 [雑文]

 朝、目が覚めると顔にあたる空気がひんやりとしていて、室温が0℃を切ったかな、と思う。枕元に置いてある、デジタルの目覚まし時計に目をやる。温度計付きの液晶に「-1℃」と表示されていた。
 布団に潜り込んで胎児のように体を丸める。
 室温は氷点下でも布団の中はとても温かい。
 掛け布団に顔を押しつけて、ぐいぐいと首を左右に振る。その感触が心地よい。

 午前六時。

 すっかり目は目は覚めているけれど、布団から出る決心がつかない。布団から顔だけ出して、また潜り込み、丸まって寝返りをうつ。

 こんなことを繰り返していても仕方がないと、勢いをつけて布団をはいだ。体が温まっているせいか意外にもそれほど寒くない。
 綿入れを羽織って部屋を出る。水道が凍結していないだろうか。

 二階の掃き出し窓から望む東の空は、そのほとんどが群青で、朝焼けを背景に家やビルのシルエットを幻灯のように映している。夜と朝が上下にくっきり分割されていた。
 ふと下を見ると、年配の男性が犬を連れて歩いている。男性は毛糸の帽子にマフラーに耳あて、ダウンジャケットを着こんでいて、しっかり防寒している。
 連れている犬もダウンジャケットを着ていることに、少し驚く。
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